園芸でのロープワークのあれこれ
今回から、園芸初心者を対象とした園芸講座のコラムを開始します。その第1弾として、使用頻度の高い、覚えておきたいロープワークについてお話しさせて頂きます。
ロープワークといえば、消防士や漁師、トラック運転手の方達がお仕事で使うものというイメージがありますが、アウトドアな趣味をお持ちであれば、キャンプでタープを張ることから、登山における登攀やセルフレスキュー、釣りにおけるラインとリーダーなどの結束など一般人でも必要に迫られることがあるかと思います。
園芸でもその例外ではなく、いくつかのロープワークを習得しておくと、できる事の幅が広がるものも多いので、代表的なものを紹介していこうと思います。簡単に早く結べることを重視したものばかりで難しくはないですから、もし知らない結び方があれば、ネット検索で動画を見たりしながら習得してみてはいかがでしょうか。文末で、著者も読んでいるおすすめの書籍をご紹介させて頂いております。
最初に基本である「本結び」について、紐を延長する際によく用いる固結びです。図1の上側のように結ぶ方法で、下側の「縦結び」と間違えると解けやすく注意が必要です。図2の右側のように、引き絞った際に短い糸が縦になる結び方は失敗ですので、覚えるまではよく確認してください。
図1.「本結び」と「縦結び」 縦結びは解けやすいので注意
次に「もやい結び」(図3)は、きまった大きさの輪をつくる結び方で、写真では、植物を棚線に吊る際に成長しても紐が食い込まず、輪の大きさも変わらないため支えの起点となっています。結びやすく、力を加えてもほどきやすい便利な結び方です。写真では細い紐でも解きやすくするために、工程の最後を引き解け結びにしています。
また、地面に支柱を挿して植物を支える場合は、支柱側はずれにくい「巻き結び」などを用います。
次に「クリンチノット」(図4)は、引っ張る力が加わるほど固く締まる結び方で、釣りで金属環とPE以外のラインを結ぶ際に代表的な結び方です。園芸においても、棚線のような丈夫で強い力で引っ張られるものを結ぶ際に便利です。
最後に「南京結び」(図5)と「2重8の字結び」(図6)について、まず南京結びはトラックの荷台に資材や機械を固定する際などに、しっかりと引き絞って固定ができる便利な結び方です。強い力が加わりますので、固定するものによってはあて板などが必要です。覚えられれば素早く簡単な結び方ですが、成否のポイントとしては写真では左に出ている輪を小さくピンとたつ状態にすることで輸送時に解けるリスクをより減らせます。2重8の字結びは、輪をつくってその後に引っ掛ける場合には大変簡単かつ強固で確実です。輪の部分に目標物を通す際は結び方が違いやや手間ですので、シビアな場面以外ではもやい結びで十分かと思います。
これらの写真では、末端処理に「自在結び」と「フィッシャーマンズノット」を行っていますが、ロープ端の処理方法の技術としての末端処理、さらに保管時のロープの束ね方なども併せて習得してはいかがでしょうか。
書籍等の紹介
「ロープワーク・ハンドブック」羽根田 治 著、2006年、山と渓谷社
「最短10秒、アウトドアやキャンプで使えるロープワーク10選!」 https://hinata.me/article/1112906337361633011
著者プロフィール
- 名前
- 長廣匠亮
- 出身地
- 山口県山口市
- 専門分野
- 蔬菜園芸学、植物育種(カボチャ)
- 趣味
- 登山、釣り、スノボ、旅
- 好きなもの
- お魚、お肉、甘いもの
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